2020年7月から始まった自筆証書遺言書保管制度(以下、保管制度)ですが、どの程度利用されているかご存じですか。ここでは法務省の資料から、自筆証書遺言書の保管申請件数の推移をみていきます。
保管制度は、自筆証書遺言書の保管を法務局へ申請できる制度です。この制度を利用することで、自筆証書遺言書を自宅で保管しているときに起こるかもしれない、紛失や改ざん、隠ぺいのリスクをなくすことができます。また、遺言者の死亡後に相続人が自筆証書遺言を発見すると、家庭裁判所で検認の手続きをしなければなりませんが、保管制度を利用すると、検認の手続きが不要となります。
この保管制度の利用状況について、法務省がまとめている資料(※)より、制度開始(2020年7月)から2024年までの自筆証書遺言書の保管申請件数をまとめると、下グラフのとおりです。

2024年の年間保管申請件数は23,419件で、制度開始後初めて2万件を超えました。2年連続の増加です。1ヶ月平均の保管申請件数は1,952件で、2020年の2,105件には及ばないものの、こちらも2年連続の増加となっています。
ちなみに、日本公証人連合会によると公正証書遺言の作成件数は、2023年時点で118,981件となっており、保管申請された自筆証書遺言書より、かなり多いことがわかります。
保管制度が始まって5年目を迎えています。制度の認知がさらに進めば、今後も利用が増えていくことが考えられます。
(※)法務省「自筆証書遺言書保管制度 12 法令・関連情報・リンク集」
本ページ内の「2 本制度の利用状況について」にある「利用状況(令和7年1月)」より作成しました。保管制度の詳細は、同省の「法務局における自筆証書遺言書保管制度について」というページをご覧ください。
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