ニュース

文書作成日:2024/03/20
遺産分割調停における相続税の立替

今回は相談事例を通じて、相続税の立替について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 数年前に私の妻が亡くなったことから、法定相続人である妻の兄弟と遺産分割協議を行う必要が生じ、この相続人らとの遺産分割協議を試みました。しかし、協議がまとまらなかったため、現在は家庭裁判所において遺産分割調停手続きを行っています。

 法定相続分に則り私が大半の相続財産を取得する予定だったので、本調停手続きに先立ち、手続きの最後に清算をすることを約束した上で、私が全員分の相続税を立て替えて納付しています。この際、相続人全員から了承も取っていました。

 その後、調停手続きが進んでいく間に次第に当初の相続人が亡くなり、当初の相続人のそのまた相続人が本調停手続きの当事者となっていきました。しかし、新しく相続人になった者の多くは、相続税の立替払いについて自身で約束したものではないから清算には応じないと主張してきています。
 本調停手続きあるいはその後の審判にて、私の立て替えた相続税については清算してもらえないのでしょうか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 遺産分割調停手続きは、あくまでも相続財産の分割について協議する手続きになりますので、相続財産に含まれない相続税の立替金の問題は、本来調停手続きでの協議の対象には含まれません。したがって、調停手続きの当事者同士で納得していれば、相続税の清算について取り決めることは可能ですが、反対する者がいる場合において、この者を含めて清算の取り決めを行うことはできません。

A-2
詳細解説

 仮に立替金の清算を求めるのであれば、本調停手続きとは別に、訴訟等の債権回収手段をとる必要があります(きちんと立替時の資料を保管していれば請求自体は認められるものとは考えますが、納付した金額自体が少ない場合には時間面・費用面のコストを踏まえて回収に乗り出すかどうか自体を検討しなければならない事案もあります)。

 また、本調停手続きにおいてご相談者様から当該相手方に代償金を支払う内容での協議が成立しているのであれば、上記代償金の支払債務との間で相殺を行うことも考えられます。

 本件では、ご相談者様は良かれと思い相続税を立て替えたものと思われますが、調停手続きや審判の場では共同相続人と対立することもありますので、このような状況は往々にして起こり得ます。そのため、対立が見込まれる相続においては、相続税の納付に関しましても各相続人にて行ってもらう方向で進めた方が、トラブルの回避のためには望ましいといえます。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。